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『卵の緒』瀬尾 まいこ

卵の緒 (新潮文庫)
『卵の緒』と『7's blood』の2作が収録されている。
テーマは題名からも騒動されるとおり、どちらも血のつながりについて。

一方は血のつながりがない親子のハッピーエンドで、もう一方は血のつながりのある腹違いの姉と弟の絆がテーマ。
これら2話を一冊に収めることに作者の意図を感じるが、実際どちらもいい話だった。



作者はあとがきで「私には父親がいない。女ばかりで育った」と書いている。
女性の作家が書く小説に出てくるのは女にだらしなく、いい加減な男が少なくないと思うが、
この本では少年からおじいさんまでそういう男は登場しない。
悪い男に人生を振り回される女、といういわばありがちなテーマに対して、
男がすでに死んでいるか単なる脇役であるのに女の人生が形成されていく様子は、男として読んでいても余計な気分に邪魔されない。

興味深いのは、女のケツを引っ掻きまわす男がいない中で血縁という重いテーマに取り組んでいるところだ。
会話のひとつひとつに配慮が行き渡っていて、人間関係も円滑なところは女性的な文章で、そんな平和な?空気の中で血が語られるギャップがいい。

最後に頼れるのは血のつながりだけとか、血縁なんて血液型占いと同じくらいの迷信だとかいうのは、
人生で壁にぶち当たった際の理由づけでしかない。

人が遺伝的に持っていて「血のつながり」として意味づけして語られるものと、
血のつながりがなくても大切なものとして一緒に暮らした時間で獲得できるものとは、
違う角度からみて言っているだけで、どちらも同じその人の資産である。

口にすれば反論されるのは容易に想像できるが、「理由付け」を人に押し付けるのは「理由付け」を必要とし、必要としないことを受け入れられない方である。
それは病人が腹が減ってないと言っても回復のために食べさせようとするのとは違う次元の話だ。

この本はその次元の物語。

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卵の緒 瀬尾まいこ

まったく新しい家族のあり方を軽やかに描く第7回坊っちゃん文学大賞受賞作。 二部作品。表題作は血の繋がらない僕と母。 とても深い愛が...

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笹部 政宏
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