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マイケル・ジャクソン - もし黒人の大統領が20年早く生まれていたら

中学生だった時の僕は、マイケル・ジャクソンのムーンウォークをマスターしようとする友達と一緒に学校の中のつるつるの床を探して何週間も練習した。上履きのゴム底はすべりが悪いし、柔らかくてつま先立ちもやりにくかった。高校生になってその友達がビートたけしのダンス甲子園の決勝に出ているのをテレビで見た。ものすごく真剣に踊っていた。僕ももう少し大人になって初めて革靴を買ったときは、ムーンウォークを試してみた。ポップ音楽に美があるとすれば、ダンスビデオを含めたプロモートで人をブルブルさせた彼はその発明者だったかもしれない。また黒い肌で踊っても心を振るわせることができた革命者でもあった。

アメリカ人にとってスター中のスターはやはり大統領だろう。マイケル・ジャクソンはオバマが演題に立って何万人もの聴衆を見下ろしてスピーチする姿をどう見たのだろう。自分がさらなる美を追求して肉体を改造している間に黒人の大統領が誕生するなんてことは思ってもみなかっただろし、そういう自分のことは脇に置いて純粋に彼の達成を称えることは、口でコメントすることなら簡単でも、同じスターの位置に立つ者としては難しかったかもしれない。スターはそういうことに拘ってこそスターたるんだろうから。

もし黒人の大統領が20年早く生まれていたら、彼の美の追求先も今とは違ってもいたかもしれない。だけど、そこまでは彼が引き受ける話ではないよ。彼がときにはそういう自分の矛盾を素直におどけてみせた曲を発表したり、ジョン・レノンのイマジンのように普遍的な道徳を歌い上げていたりしたことを思えば、さらなる美を追求しようとして副作用に苦しんでいたことを、亡くなってからはやし立てるのはよそう。あの年で人生に落ちがついてしまった理由をそこに求めて納得するのもやめよう。ロボットのような姿がおぞましいだなんて、偏見のなくならない世の中に住んでいることを分かっている人なら感じないはずだし、僕はただ切なくなるだけだったんだ。

「自分もエルビスの様な死に方をする」(CNN)と、エルヴィス・プレスリーの娘のリサ・マリーは結婚時代に言われたそうだ。すぐ別れたし、まったく一緒に住んでなかったという話もあるが、マイケル・ジャクソンとして美を追い求めていくパートナーとしては、「You Are Not Alone」の動画を観ると感じる。

youAreNotAlone.png :YouTube

岩山の頂上に神殿を建てるのが好きだった古代ギリシャ文明は、肌の色以前に市民でなければ奴隷である。またオリンピックは全裸でやっていたように裸体=美である。そんな、欧米文化のルーツでもあるような場所でヌードで向き合う二人は、もはや肌の色を超越しているのだろう。この作品をプロモートした人物がそれを意識していなかったというなら嘘だ。

彼がそこに達したかどうかは、後の世の人々が彼という人物をどう受け止めるか次第だが、いずれにせよ、最後まで人々の脳裏に焼きついて残るのは、指先の動きまで神がかった電磁波にまとわれるかのように軌跡を引く、白い肌にくすみのないダンス姿の彼なのだ。その軌跡は死後も引かれ続けていくのであり、彼は自分の作品の力で望みをかなえるのである。伝説となる人間は、自分を老人になるまで生き延びさせないのだ。


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笹部 政宏
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