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『学問』 山田詠美

学問
迷いや煩悩ばかりのこの世の向こう岸側を「彼岸」という。頭が真っ白な快楽に浸っている状態は、煩悩を全く忘れているという意味では彼岸に達した状態だ。ただ、コトが終われば可及的速やかに元の現生活に戻る一時的な状態なので悟りというものではない。生物としては敵から狙われやすいハイリスクな交尾の状態から早く戻ろうとするのは正しいことだ。

サルやネコ科といった生態系の頂点で生存リスクにさらされない動物の発情期というのは、それはもうヤりまくりである。人間だけがそれを抑えこんだ集団生活をしているといってもいいかもれしない。だが、人間だって簡単にそれを抑えているわけではない。いやむしろ抑えているだけ、人生の全てを投げ打ってまで性的な衝動に突進してわいせつ事件を起こす輩の数をみるにつけ、否が応にも「彼岸的な快楽」への欲求は高まってしまうのだろう。

たぶん多くの人は思春期に色んな冒険を体験し、その経験をもって人間としての集団生活に収まるのだろうが、とりわけ女性の場合、男のようにあけすけに話し合うこともなければ、そういう商品や商売もないとか、その他文化的な理由もあってそれは個人の秘密になることが多いのだろうか?

主人公の仁美もそんな一人である。本人は「儀式」であると考えていて、まだ幼年期といっていい時期から自分の冒険的行為によって獲得したその儀式的な営みは、少し大きくなって耳にするエッチな情報と合致させることさえままならない。そんな女性の科白として、ごく抑制の効いた文章で綴られるので、それがまたたまらない感じになってしまうのだ。

タイトルが「学問」となっている理由はわからないままだったが、死とセックスはどうしても繋がるテーマのようで、これはごく普通の人が思春期の冒険を通じて人生を全うするまでの物語だ。のはずだ。というのは、後半は普通の人がそうであるように、セックスから死へは動物のように一直線の物語ではなく、もはや性が冒険ではなくなった「大人」の長い人生が待っているのだから。平凡な人生を題材とした小説で死とセックスを描くのは難しい。いやむしろ、主人公たちが実際経験するセックスが全くポルノ的ではないのだ。それを期待する向きにはがっかりするだろうが、実際の多くの人にとってはリアルで、それぞれ各自の冒険を思い出して噛み締めるには都合がいいのかもしれない。
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